Encephalitozoon cuniculiという病原体がウサギに感染して様々な症状が引き起こされる恐ろしい病気です(略して「Ez症」などと呼ばれています)。驚くべきことに近年の国内における調査ではエンセファリトゾーンの感染率は全国のウサギの約60%にも及んでいるとの報告があります(注)。特筆すべきはこのデータには無症状のウサギも含まれていることであり、今まで何も病気の兆候がなかった元気なウサギが、突然発症する可能性があるということを示唆しています。
症状
症状は主に➀神経症状➁眼症状➂腎不全の3つに大別されます。
特に警戒しなければならない神経症状として最も代表的なのが斜頸です。重度になると姿勢保持ができなくなり、ローリングと呼ばれる運動失調が発症します。こうなるとほとんどのケースで食欲不振が生じますのでウサギが重篤な状態になることがあります。
※現在、様々な情報が錯綜していますが「斜頸=エンセファリトゾーン症」ではありません
診断
現在のところ、生前の確定診断は不可能といわれています。実際には血液検査やレントゲン検査、神経学的検査やエンセファリトゾーン抗体検査などを組み合わせて診断を進めていきます。
治療
治療にはエンセファリトゾーンの病原体を抑制する薬を用います。また、二次的な食欲不振や二次感染等の治療も徹底して実施しなければなりません。
予防
多頭飼育において病原体の蔓延が知られているため、ウサギ同士の接触や同居飼育には注意が必要です。飼育ケージや食器等の環境の消毒も重要です。
注:ここでの感染率とはE.cuniculiのIgG抗体の陽性率を表します。
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