鳥の痛風

タンパク質の最終代謝産物を尿素ではなく尿酸として排泄する鳥類では痛風がみられることがあります。痛みだけでなく腎臓病に罹患していることがほとんどなので迅速な治療が必要となります。セキセイインコ、オカメインコ、コザクラインコ、ボタンインコに多い病気です。

 

症状

非常に痛みが強く、食欲や元気がない、脚を挙げているなどの症状がみられます。腎不全が進行している状態では突然死が起こることもあります。

 

検査・診断

顕微鏡で針状の尿酸結晶を検出します。また、腎不全の進行程度の把握には血液検査が不可欠です。

痛風結節
顕微鏡で見た針状の尿酸結晶

治療

尿酸合成阻害薬や輸液、抗炎症剤、食餌療法が有効です。特に腎疾患用療法食は非常に効果が高いことが知られています。

痛風治療前 (1)
痛風を発症したコザクラインコ  脚が腫れあがっています。

 

痛風治療後
治療一週間後の様子 腫れがひいています。

 

 

 

 

 

 

予防

図4 セキセイインコの痛風
セキセイインコの痛風 脚が痛みの為に挙がっています。

腎不全が進行すると予後が悪いことが多いために早期発見早期治療が最も重要です。「止まり木から落ちる」、「止まり木につかまりたがらない」などの仕草が見られたらなるべく早めの受診が推奨されます。

図6ペレット
腎疾患用の療法食 効果が高いことが知られています。

 

 

病気のはなし TOP
うさぎと鳥・小動物の専門病院 バニーグラス

メガバクテリア症(AGY症、マクロラブダス症)

鳥類の感染症の一種であり、その病原体は以前はMega(大きな)Bacteria(細菌)と呼ばれ、治療法が確立されてなく致死率の高い疾病でしたが、その正体は細菌ではなく真菌である特殊な酵母菌の感染によるものと報告されました。現在では治療法が確立しつつありますが、病気の発見の遅れと病態の進行の速さにより重篤になるケースも多く、恐ろしい疾病であることにはかわりがありません。 多くの鳥種に感染をすることが知られていますが重篤になりやすいのはセキセイインコ、オカメインコの幼鳥、マメルリハインコ、キンカチョウ、カナリアです。

症状

  • 削痩  「Going Light」(どんどん痩せていく)と呼ばれ筋肉が委縮してしまいます。
  • 食欲不振  嘔吐・下痢・黒色便などの消化器症状が見られます。重症例では吐血を起こすことがあります。
  • 膨羽、沈うつなど  元気がなく、動かなくなります。
  • 無症状のこともありますが免疫低下により急性発症し、生命にかかわることがあります。

※元気で食欲があったとしても必ず治療をしなければいけません

検査・診断

「メガバクテリア」の菌体(矢印)  大きさや厚さに様々なタイプが存在します
「メガバクテリア」の菌体(矢印)
大きさや厚さに様々なタイプが存在します

糞便検査によってメガバクテリアを検出します。検出率は100%ではないので繰り返し検査を受けるのが効果的です。

治療

メガバクテリアを排除するための投薬(※抗生物質は無効です)と消化器症状に対しての支持療法を徹底する必要があります。
幼鳥期のメガバクテリア症は早期発見によって多くが治癒しますが、大人になってから発症した場合、後遺症が残ってしまうこともあります。 早期発見・早期治療が非常に重要です!

 

病気のはなし TOP
うさぎと鳥・小動物の専門病院 バニーグラス